吉例顔見世大歌舞伎 第四部
2021-01-30


2020年11月3日 歌舞伎座 午後7時半開演 1階12列25番

義経千本桜「川連法眼館」

忠信が獅童、静御前が莟玉、義経が染五郎、駿河次郎が團子、亀井六郎が國矢、という配役はまるで浅草歌舞伎で、こんなご時世でもなければ歌舞伎座ではありえない。でもこの演目を嫌というほど見てきた自分にとっては、その新鮮さがありがたい。

莟玉はちょうど一年前の11月が襲名だった。たった一年でこんな大役をやる。今まで四の切を観たときにはあまり感じたことがなかったが、静の台詞はけっこう多く、莟玉が歌舞伎座で堂々と演じていることが感慨深かった。

染五郎は品があって、声に何か一本通ったものがあって、位のある人の役にふさわしい。

團子はひょろっとした印象が連獅子のときと同じで獅童と比べても身長が同じくらいなので、やっぱり長身なのだと思う。素顔は微妙だが、拵えをした顔は二枚目ではないがなかなかいい。

國矢は、この顔ぶれの中では間違いなく一番うまいだろう。

獅童の狐は、決してうまくはないのだが、感動した。欄干歩きとか欄間抜けとかいろいろやることがあって、必死だったと思う。狐の衣装で出てきても人間にしか見えない。大きな人間が必死に動き回っているのを見ると胸に迫るものがある。猿之助の狐とは対極にあるものでも、感動することはあるのだと知った。
[歌舞伎]

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