舞踊詩「黄金の夢」
2013-11-22


2013年11月19日 東京国際フォーラムホールC 午後2時開演 1階13列30番

一年前の11月23日に盛岡市民ホールでやった公演の再演。きょうも上手の席だが、前回より後ろなので舞台をほぼ正面から見ている感じがした。

1、長唄舞踊「橋弁慶」 振付 初代若柳吉蔵

盛岡のときはこの演目はなかった。壱太郎が義経、若柳吉蔵が弁慶を踊る。

五条大橋で2人が出会う。この後の演目で順に加賀の国の安宅、出羽の国へ行き、最後に平泉で別れる構成だ。

2、長唄舞踊「勧進帳」 振付 若柳吉金吾

去年は義経が壱太郎だったが、今回は花柳基。弁慶は若柳吉蔵、富樫は去年と同じ尾上菊之丞。

名のある舞踊家が3人そろって、見応えのある幕だ。
歌舞伎の勧進帳よりも弁慶の比重が高く、若柳吉蔵が気合いの入った踊りで楽しめた。振付も良い。

3、筑前琵琶「散る花草紙」 上原まり

義経と弁慶は出羽の国で佐藤継信の母に会って壇ノ浦の戦いで継信が死んだことを伝える。そして、平泉に向かう。

4、創作舞踊劇「清衡」

前九年の役で安倍一族が滅び藤原経清が殺された後、安倍貞任の妹で経清の妻である結有(ゆう)が息子の清衡を連れて敵方の清原武貞(花柳基)と再婚し、後三年の役で清衡の義兄真衡(花柳基)が死に、清衡は義家(菊之丞)と組んで異父弟の家衡(花柳源九郎)を下して家長となる、というのが話の流れ。

平泉に着いた義経(壱太郎)と弁慶(吉蔵)の前に清衡の霊(愛之助)が現れ、踊りで戦いを物語る。能の修羅物の法被を着て頭は童子のようなおかっぱで白髪。
去年泊まったホテルはつなぎ温泉というところにあり、そこには義家が馬をつないだという石がある。盛岡行きのバスには「宗任橋」とか「前九年一丁目」というバス停があり、戦いの舞台となった土地だ。だから去年の観客には清衡の踊りの唄に出てくる人名は馴染み深かったろうが、きょうの観客は耳を素通りする人が多いかもしれない。

場面が変わって、芝居が始まる。
安倍貞任、結有の母の沙羅役をやる若柳吉金吾が、踊りも芝居もうまくて凄い。きょうの「勧進帳」の振付もこの人だ。
沙羅は祈祷をする巫女たちの元締めみたいな、ちょっと卑弥呼が入ったようなイメージ。
沙羅は娘の結有(壱太郎)に、敵だった清原武貞に嫁ぎ、子どもを産んで油断させろと言う。

きょうは途中で少し眠ってしまったので、清衡の清丸時代の記憶がない。盛岡で観たときに結有の衣装が「緑の打ち掛けに黄色の着物、紫の扇」という派手なコントラストのがあったが、きょうは見た記憶がない。私が眠っている間に出たのか、それとも無難な色に変えたのか。

義家役の菊之丞は、愛之助、壱太郎という歌舞伎役者の中に一人混じって芝居をしても違和感がなく、多才な人だとあらためて感心した。

出ている人がほとんど舞踊家なので、立ち回りは普段歌舞伎を観ているときより面白い。菊之丞と源九郎二人の立ち回りは特に良かった。一人が大勢を相手にしながら前に進んでいく、歌舞伎でよく見る立ち回りも、愛之助と菊之丞では違うものだな、と眺めた。

戦いが終わり、場面が変わって中尊寺金色堂が現れ、束帯姿の清衡が出てくる。桜の花びらが舞う美しい場面だ。愛之助の台詞が舞台の美しさに負けていなくて立派。

最後の場では義経と弁慶が追手に囲まれている。弁慶は義経を逃がし、一人で何人もの敵を引き受けて、幕となる。

カーテンコールは各グループと一人一人が出てきてお辞儀した後、並んだ。
去年のような花束贈呈はなかった。
[舞台]

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