中村勘九郎襲名記念 赤坂大歌舞伎
2013-03-12


2013年3月10日 午後4時半開演 2階A列3番

「怪談乳房榎」

冒頭は向島の花見。 小山三が茶店の女で、、「お若いですね」と声をかけられて客席が沸く。それ以外は台詞が頭を素通りして、なかなか話に入って行けず、浪江(獅童)が、菱川重信の妻お関(七之助)を騙そうとして腹痛を装い、「イタイ、イタイ」と大げさに言うところでやっと舞台に集中できるようになった。

早替りは嫌いなのだが、そんなに気にならなかった。早替りといっても重信、正助、うわばみの三次の三役だし、ストーリーが遮られることはなかった。

獅童と勘九郎が料亭の二階にいる場が一番楽しかった。勘九郎は初めは三次で、正助が来たと聞いて「正助が来たんじゃ帰らなくては」と言うので客が笑う。 階段を下りて行った三次が、正助に変わって上がって来る。正助が食べているとき、浪江役の獅童が横について何か言ってるのを見ると一心太助のときに口に頬張ったお寿司を噴き出したのを思い出して可笑しくなった。

三次の役のときの勘九郎は若いときの勘三郎と似ている。この役は立ち回りが多く、したがって一番かっこいいシーンが多い。浪江と争い、横になって、浪江の方に足をぐっと伸ばして持ち上げている形が凄く綺麗だった。

大詰の十二社の滝の場の前に、舞台近くの客に水よけのビニールが配られた。後ろで舞台を作っている間に、2人の役者が掛け合いで、「江戸に滝があるの?」「江戸っ子だから知ってるよ。西新宿知ってる?」のような感じで、十二社の滝があった場所を説明していた。そういえば、ブラタモリで十二社に池があった話をしていたなあ。最後に、配られたビニールを使って水をよける練習をさせていた。

大詰は早替りに次ぐ早替り。じっと目を凝らしていないと、どちらが本物の勘九郎かわからなくなる。早替り自体は鬱陶しくて嫌いだが、勘九郎の動きが美しくスピード感があって爽快だった。

カーテンコールが一回あった。最後が敵討ちの場で、そこに出ていた子役も出てきたが、七之助はいなかった。

この劇場には花道はなくて、下手の通路から舞台に昇るようになっている。2階からだと、役者が舞台近くに来ないと見えないので少しいらつく。ここの2階は高さがある分舞台が遠いので、最前列でも演舞場や歌舞伎座のように特等席ではない。でも、舞台が俯瞰できるのはやっぱり良い。
[歌舞伎]

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