八月納涼歌舞伎 2部
2018-08-18


2018年8月18日 歌舞伎座 午後3時開演 1階11列42番

納涼の2部は昔から出ている役者に加えて澤瀉屋のNARUTOに出ていない役者、趣向の華に出ていた役者が加わって、特に若手がすごくたくさん出ていた。

「東海道中膝栗毛」

幕開け、いきなり喜多八の葬式。喜多八(猿之助)の大きな遺影の前で弥次郎兵衛(幸四郎)が泣いている。死んだ理由は、大阪の襲名について行って大道具をやって、油地獄の油ですべって頭をうった、ということだ。周りで慰めている人がたくさんいて、虎吉役の虎之介がけっこううまいと思った。

七之助、獅童、中車が三人セットでいろいろな役で早変わりで出る。こういうのは今まで見たことがないが、三人が何度もそろって出てきて物語を運んで行くので、役の数は多いのにとっちらかった感じがしない。役者は大変だと思うが、納涼ならではの贅沢な配役かもしれない。

七之介がお染、獅童が久松、中車がお染の母で花道で並んだとき、獅童より先に行こうとする中車を獅童が何度も押しとどめるのが笑いを誘っていた。

「美少年が来たよ〜」という台詞の後に花道を出て来るのが染五郎と團子。二人は、嘆き悲しむ弥次郎兵衛に貯めた金を差し出して、お伊勢参りに行くように勧める。二人の良い行いに対し、「親の教育がいいんだろう」という幸四郎の台詞。前回は観なかったが、初回の弥次喜多では一本調子の子役の台詞だった染五郎が、若者らしくなっていた。

写真がくるりと反転して幽霊となった喜多八役の猿之助が出て来る。猿之助は、立っているだけでわかるレベルのうまさ。花魁の役のときよりも、喜多八の方がうまいと感じた。
地獄へ行くのだと絶望的になっている喜多八のところへ両親と兄(例の3人)の幽霊が現れて、一番大切に思う人に「ありがとう」と言ってもらえれば極楽に行ける、と告げる。
その後、喜多八は、怪しげな三人組(例の3人)が弥次郎兵衛を追っていくのを見て、心配になって後をつける。

第二場は神奈川宿の茶飯屋。茶屋の女が新悟。黒衣が犬と猫を操っている。人間になると犬が弘太郎、猫が鶴松。
猿之助が、花魁役で、例の3人も入った花魁道中で通りかかる。ここは籠釣瓶のパロディで、弥次郎兵衛は花魁を追って旅籠に向かう。
喜多八の幽霊はそれを心配し、話しかけてきた犬と猫といっしょに弥次郎兵衛を追いかける。

旅籠の亭主役は廣太郎。
喜多八と犬と猫は入り口に御札が貼ってあるため入れなかったが、犬と猫が爪ではがす。「器用な子じゃのう」は鮓屋のパロディか。
怪しげな三人組も続いて入る。

旅籠の女将の役は米吉。
喜多八は花魁を身請けしたいと言って若い二人にもらった路銀を出すが、3両しかない。それでは身請けできない、と女将は言うが、花魁は面白がってそれで身請けされる、と言う。
花魁に惚れている次郎左衛門の役は片岡亀蔵で、「そでなかろうぜ」の台詞。
怪しい三人組は次郎左衛門に「愛想づかしは辛かったろう」と言って近づき、いっしょに喜多八と花魁を殺して恨みをはらそう、という。

次の場は、旅籠内にいる人々のだんまりになって、幕。

次の場で、若い二人は富士川の渡しを渡るが、弥次喜多は怪しげな三人に騙されて地獄に連れて行かれてしまう。犬と猫はそれを若い二人に伝え、若い二人は、地獄とつながっていると言われる富士山の麓の洞穴に飛び込む。

地獄では祭りの最中で、みんなで踊りを踊っている。鷹之資と橋之助あたりがうまかった。千之助は女歌舞鬼の役で、一人で長く踊った。小鬼の役は右近。右近が踊っているとき、閻魔役の右團次が写真をとったりいっしょの振りをしたりしていた。右近は昔の亀治郎のようだ。

弥次喜多を助けに来た若い二人と地獄の面々の間で立ち回りがある。
團子一人の立ち廻りの見せ場もあった。

弥次郎兵衛は生きて現世に戻るが、瀕死の状態。今まで聞こえなかった喜多八の声が聞こえるようになった。


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[歌舞伎]

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