八月納涼歌舞伎 初日 二部
2016-08-10


2016年8月9日 歌舞伎座 午後2時45分開演 1階16列26番

「東海道中膝栗毛」

二部はこれがあるから人気なのだろう。染五郎と猿之助のコンビは私も観たかったが、予想よりずっとエンタメに徹した芝居で、コクーン歌舞伎や昔の納涼の新作、それにワンピースを思い出した。

真っ暗な中で舞台が少し明るくなると、金太郎と團子の二人。金太郎は若様で、そのお供が團子。台詞をいわゆる「棒読み」の金太郎に対し、台詞らしく言う團子。二人の個性の違いが面白かった。團子の方が達者でプロっぽいが、それが何十年先の役者としての優劣を約束してもいないところが歌舞伎の面白いところ。長生きして、二人の行く末を見たいものだ。

場面が変わると、舞台の上の舞台で吉野山を踊っている。静は春猿、忠信は猿弥。二人の後見の黒衣が、弥次喜多の染五郎と猿之助。舞台でいろいろ失敗があって、弥次喜多は逃げる。

読売屋の文春(ふみはる)の役が弘太郎。狂言回し的なことをするが、ノリと動きが良かった。文春は、あのセンテンススプリングのこと。リオで体操男子団体が金メダルをとった、とか時事ネタを言う。
これ以外にも、旅籠の「五日月屋」は都知事が使っていたとかいう「三日月屋」にかけたもので、「経費で」という言葉が出たりする。

女役者十六夜は壱太郎。踊りを披露する。離れ座敷にいる十六夜のところに行こうとして、弥次喜多は幽霊に会う。

富士川を渡ろうとして川に落ち、クジラの背中に逃れて、海に運ばれる。そしてラスベガスへ。

ラスベガスの場には、劇場支配人のデビッド役の獅童が出る。獅童はこの後、奉行の役でも出て、それもまあ良いのだが、きょう見た中ではこの支配人の役が一番、余人をもって代えがたいものに見えた。

この場はショーガールが出てきて色っぽく踊るし、アラブ人の金持ちの奥さん役の笑三郎が貫禄。染五郎と猿之助が連獅子を踊る、という劇場のシーンのときは一階の各桟敷の後ろにドレスアップした客が現れて雰囲気を盛り上げる。
連獅子のシーンは良かった。猿之助の赤獅子は最近では珍しいような気がするし、二人の毛ぶりが観られて楽しかった。
ルーレットのいかさまがみつかって逃げた弥次喜多は噴水のある池に飛び込む。本水でバシャバシャやって、前方席の人たちはビニールを広げて持っていた。
ラスベガスの場は、ワンビースの第二幕のように楽しかった。

三保の松原の場では切腹しようとする金太郎を團子が止める。その台詞が、たぶんヤマトタケルかなんかの引用なので、笑える。そして、海から大きな天照大神(笑也)が現れて、二人を助ける。

最後の伊勢の場に奉行役の獅童が出る。この日は花火大会。背景のプロジェクションマッピングに花火が次々に上がり、客席では何かが破裂してテープが後ろの方まで飛んで来た。

弥次喜多は、花火の大筒の中に隠れていて、火がついたので空に上がる。という設定で、宙乗り。浴衣姿で、少し上にいる猿之助の浴衣の裾に染五郎がつかまっているような形の宙乗り。染五郎は途中で手を離して、鉄棒のように何回かクルクル回った。

舞台では奉行役の獅童が扇子を掲げて、幕となった。

「紅翫」
こちらは、オリジナルの納涼メンバーの踊り。久しぶりに勘太郎の踊りが観られて嬉しかった。
[歌舞伎]

コメント(全0件)
コメントをする


記事を書く
powered by ASAHIネット