第三回 趣向の華 昼の部
2010-08-15


2010年8月14日 日本橋劇場 昼12時開演 1階14列2番

藤間勘十郎、尾上青楓主催の公演である。日本橋劇場は水天宮前からすぐのところで、こじんまりとして見やすい劇場だった。

最初に勘十郎と青楓が囃子方の格好で挨拶した。勘十郎を横から見ると、袴の部分が前掛けなのがよくわかった。「前の公演のとき、唄が音を外したときにクスリとも笑い声が聞こえなかった瞬間、冷や汗が出た」という勘十郎の言葉が可笑しかった。青楓はメガネをかけていて、最初誰だかわからなかった。獅子虎傳で話を聞いたときはもう少し声が高かったような気がする。きょうは低め。気のせいか少し鼻声のような?
全演目についての簡単な説明があった。昼夜最後の「袴歌舞伎」は、そういうのが昔からあったわけではなく、素踊りの歌舞伎版を作ったということらしい。舞踊家さんらしい発想だ。

長唄「越後獅子」

最前列に、左から太鼓の亀寿、大鼓の勘十郎、立鼓の梅若玄祥、小鼓の亀三郎、新悟、梅丸。2列目は長唄。その中で歌舞伎役者は廣松と、龍之助か。孝太郎がいるはずと思ったが、いなかった。廣松は、唄はそんなにうまいわけではない。隣りにいたのが龍之助か?声が良いような気がした。顔もかわいい。中学生くらいのはずだが、身体が大きい。一番後の三味線の列には、青楓と、梅枝、萬太郎、廣太郎、種之助、米吉、男寅がいた。萬太郎だけは前に楽譜を置いていない。

東明「春の鳥」

富十郎の娘の愛子ちゃんの踊り。「姫天王」の掛け声が飛んでいた。一人で踊るのは初めて見た。後見さんも見えないのに、一人で偉い。「振りを忘れたらとりあえず回るんだよ、愛ちゃん」と、勘太郎の言葉を思い出して心の中でつぶやいた。今回は勘十郎が三味線にまじり、青楓が小鼓。それ以外の演奏は全部女性。

長唄、「勧進帳」

きょう個人的に一番感動したのが、これ。勘十郎が三味線、青楓が大鼓、染五郎、新悟が鼓、それ以外は本職で、「勧進帳」の演奏をした。間に、染五郎が弁慶、青楓が富樫のパートで問答をやった。染五郎が弁慶の台詞の一部だけでも演じたのは歌舞伎界にとっては意義のあることなのだろうが、私的には、青楓がそのまま歌舞伎の舞台で富樫をやれるくらいうまかったのと、大鼓がすごくうまかったのが衝撃だった。歌舞伎は小鼓がリードするらしいが、気持ちの良い音で青楓の大鼓がリードしてるように聞こえた。新悟の鼓もうまい。長い指でスナップがよくきいている。

袴歌舞伎「月花怨皿絵(つきにはなうらみのすがたえ)」

全員袴姿で歌舞伎をやる。

最初に、梅丸、新悟、廣松がチラシ配りとして、場内後方から出てきた。梅丸は花道、他の2人は通路を歩き、廣松は途中で「これは、○○○にいさんのお母さんじゃごさいませんか」と言ってチラシを渡していた。

序幕「向島川岸の場」では、3人以外に花見客として廣太郎、種之助、米吉、男寅も出て来た。軽業小梅の梅丸は、ねじり飴みたいな棒を持って踊った。先乗りのちょろ松の廣松は輪鼓(りゅうごという中国の独楽だそうだ)の芸で、独楽をひもの上で動かして、それを上に投げ上げ、またひもで受けて動かす。一際高く投げ上げたときに受け取るのに失敗したが、「もう一度やります」と言ってやり、二度目に成功した。名前がわからなかった人の、傘の上を紙の風船を回す芸もあった。「いつもよりたくさん回しております〜」と言っていた。最後は大和屋お新の新悟の下駄タップ。そして、皿屋敷の話に続けるように、皆で皿回しをした。


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[歌舞伎]

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