教育テレビの南座録画を見ながら歌舞伎に明け暮れた今年を振り返っている。最初の観劇は忙しさにまぎれブログに書けなかったので年が改まる前に書き留めておくことにする。
2006年1月16日 松竹座 午前11時開演 1階2列24番
「義賢最期」
20年ほど前に孝夫で見た。孝夫でもう一度見たかった演目の一つ。再演のときに見なかったのが悔やまれる。愛之助は一生懸命やっていて、仁左衛門を思い出す瞬間がたくさんあった。孝夫の舞台は遠くから見た記憶があるが、今回は2列目だったので、最後の仏倒しでバターンと階段の上に倒れると一度小さくはずんでもう少し下のずり落ちるのもわかった。
「十六夜清心」
仁左衛門・玉三郎のコンビで見るのは三度目だろうか。清心が「しかし待てよ」と死ぬのを思いとどまるシーンはごく短いがNHKの正月芝居の中継で流れていた。一幕目はたしかに綺麗だ。私はどちらかというと玉三郎が不良になって二人でゆすりに行くシーンが好き。
2006年1月17日 松竹座 午後4時開演 1階10列17番
「神霊矢口渡」
孝太郎が義峯役の薪車の顔に見とれるたびに、お前の実の父の方が百倍も男前だろうとつっこみたくなった。
「忠臣蔵 五・六段目」
愛之助の「五十両」は、まあこんなもんかな、という感じ。仁左衛門の猟師姿が美しい。
玉三郎の女房お軽はろくろっくびで嫌いだった。しかし今回はろくろっくびも気にならず夫婦の情愛を感じる良いお軽だった。仁左衛門の勘平は20年前に歌舞伎座で見たが、それをテレビでやったときに見とれてしまった記憶があり、観客をひきこむ魅力のあるものなのはよく知っている。今回はおかやの竹三郎もよくて、前回よりも良い芝居だった。
お軽が「もう行くぞえ」と言っているのに何も言ってやらない勘平、お軽が「さらばでござんす」と駆け出すと「待てお軽」と呼び止める。喜び勇んでもどって勘平の膝に抱かれるお軽。ここは昔は玉三郎は後ろ向きでジャンプして孝夫の膝におさまるような動きだったが、今回は一度腰を落としてから勘平に抱かれていた。20年の歳月を感じる。「お軽、まめでくらせ」と言うときの仁左衛門の表情が私の脳裏を離れない。
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